iPad miniでPC遠隔操作が捗るわぁ

iPad miniが来て改めてPC遠隔操作系アプリを再評価。この小さくて軽いデバイスの上でWindows機の操作ができるというのはそれだけでちょっとワクワクします。

試したのは前記事でも書いたiTap RDP(1,000円)とSplashtop 2 Remote Desktop(600円)(価格は執筆時点)。

■iTap RDP

Windows標準の遠隔操作プロトコルRDP(Remote Desktop Protocol)を使用するので、Windows側は特にサーバーソフトを入れる必要がない一方、そもそもProfessional/Business以上のEditionしか対応してない。Home系Editionの人はいきなり選から外れます。σ(^^)はもともとPC-to-PCでもこれを使いまくりで、購入するOSは全てProfessionalを選択しているので無問題。最近のバージョンからは音声もiOS端末側で鳴らすことができるようになりましたが、たまに途切れるのでゲームとかにはちょっと厳しい印象。

長所としてはタップ箇所をズーム表示するルーペ機能があり、画面全体を拡大しなくても精密なポインティングができる点。

たまに寝室でiTunes上の音楽をAirPlayで枕元のコンポに流そうとしたけど、母艦でiTunes起動してなかったわー、とかテレビの録画周りの設定いじる時とかに重宝しています。

■Splashtop 2 Remote Desktop

こちらは独自プロトコルを使用しているので、サーバー側にも常駐ソフトをインストールする必要がある一方、パフォーマンス的にはRDPよりも良い感じ。Nvidiaドライバに最適化してるということなので、GeForce派の人には特にマッチするかも知れません。Radeon機では試してません。

音声も含めて割と快適なんですが、一部のゲームで全画面表示にしようとすると「直接描画には対応してません」的なエラーになります。DirectXを使ってるといいのか使ってるとダメなのかよくわかりませんが、相性問題が発生しやすいのは確か。画面が狭いiPadで使う上、やはりゲームは余計なノイズがない全画面表示でプレイしたいので、これはちょっと厳しい。しかも、一度この状態になると、一瞬でもフォアグラウンドになる度にこのエラーになって、終了もままならないことすらあります。ALT-F4で素直に終了してくれるソフトはいいんですが、それすらフックしてゲーム画面上に「終了してよろしいですか?」とか確認するようなソフトはもはやタスクマネージャーで殺すしかなくなります。

一方でRDPではできない長所としては、電源操作ができる点。RDPだとスタートメニューの一番下の項目が「ログオフ」とかになってしまい、スリープやシャットダウン操作ができません(まぁコマンドラインやバッチファイルを駆使する手はありますが)。また試してませんが、Splashtop 2アプリ上からWake-on-LANシグナルを使ってPCをスリープからたたき起こすことができるようです。あと、マルチモニタに対応している点も優位かと。

 

うーん、一長一短で用途によって使い分けというところでしょうか。どちらもそれぞれマウス操作をタッチパネル操作に置き換えるにあたって独自の操作ルールを定義していて、これまた一長一短だし、片方に慣れるともう片方にスイッチする時にこんがらがるという問題も。全体的にはiTapの方が素直で覚えやすい印象です。三本指を使わなければならないシチュエーションが少ない(切断時とコントロールパレット呼び出しのみ。どちらもスワイプ。)。一方、Splashtopは画面のスクロール(表示範囲の移動)が三本指スクロールな上に、パレットの呼び出しの三本指タップの反応がいまいち渋くてイライラしがち。Splashtop2はトラックパッドモードというのがあって、これとのトグル切換に二本指タップを使います。このモードは絶対位置のポインティングではなく、指の移動量が現在のマウスカーソル位置に相対的に加算されるタイプの操作方式で、片手でデバイスを保持して親指の可動範囲だけでポインタを画面全体に行き渡らせることができます。これはとても便利なんですが、右クリック、左クリックの各ボタンが画面下に固定されているので、結局そちらに指を動かさなければならない。このボタンの位置を自由にカスタマイズできたらいいなぁと。あと紙芝居ゲーの読み飛ばしに不可欠なCtrlキーもその近くに置けたら神だよなぁとか。要望送ってみようかな…

どちらもLTEでつながっているiPhone5のテザリングを通してVPN経由でも使ってみましたが、レスポンスは充分です。ちなみにこの時iPad mini側で測定した下り速度は19Mbpsでした。

XperiaSXのバッテリー調整 ~電話帳サービス無効化~

最近、XperiaSXのバッテリー消費が妙に激しくなってきました。基本的におサイフケータイ専用機なのに1~2日でバッテリーがなくなる位。以前、Battery+というアプリを入れてスリープ中は3GもWiFiもオフになるようにしてから、消費グラフはほぼ横ばいで減らなくなってたんですが、いつのころからかグングン減るようになっています。BatteryMixでアプリ毎の消費をみると「電話帳サービス」が80%位占めています。この「電話帳サービス」は他のdocomo製Android端末でも悪名高いバックグラウンドアプリで、電話帳の個々の登録相手との通話、SMS、SNS履歴などを一見できる様、色々データ収集に勤しんでいるようです。一覧対象を絞り込めるのですが全てをオフにすることはできず、最低1つはオンにしておく必要があります。全く余計なお世話です。あくまでdocomo製「電話帳」アプリの補助サービスなので、Xperia版など他の電話帳アプリを使う分には全く不要。無効化してしまいます。

さて、無効化方法をググると「アプリ->すべて->電話帳サービス->無効化」という手順がすぐに見付かるのですが、何度見ても手元の環境では「無効化」という項目が見付からない。実はバージョンアップ履歴があると「無効化」ボタンが更新アンインストールボタンに置き換えられていたのです。初期バージョンに巻き戻さないと無効化ができない、というわけですね。なんだかこれも納得いかない仕様です。そういえば少し前にこれをバージョンアップした頃から現象が出てるような気が。

せっかくなので一応図解しておきます。

sx_battery1設定->アプリを開き、上の見出し部分を右にスワイプして「すべて」を出現させてタップします。

次に一覧から「電話帳サービス」を探してタップ。「すべて」だとかなりの数が出るのでずっと下の方です。


sx_battery2写真の様に「無効にする」が出ていればそれをタップ。「アップデートの削除」になってる場合はそれをタップすれば「無効にする」に変化すると思います。

無効化するとリストでは一番下に移動します。なくなったようでビビりますが、再度有効化したい場合は、一番下まで探してみれば見付かるはずです。


sx_battery3

これで、バッテリー消費量が横ばいに戻りました。赤が充電中、青が使用中です。この記事を書き終わる時点で4時間経過していますが、いまだ100%のままです。σ(^^)の使い方だとこれのペースなら何日も保ちます。

普通にメイン端末として使う人にとってもこの違いは大きいんじゃないでしょうか。

iPad mini ファーストインプレ

予約解禁1分以内に注文を終え慢心していたら、配送先が実家になってたという大ポカをやらかしてしまい、一日遅れてしまいましたが、今朝無事iPad miniが手元に届きました。動画用にはフチが黒、電子書籍なら白、ただし最近は小説は白黒反転させて読むのでやっぱり黒、ということでブラック&スレート。iPadの場合、背面はシルバーの方が好みだったんですけどね…まぁ背面はいずれなにかしらのケースつけちゃうしってことで前面優先で。容量はケチって16GB。まぁそんなに中身パンパンにする用途ではないだろうと。Retinaモデルが出たら本気だすw。

■ハード周り

「思ったほど小さくはないけど、軽いから取り回しは確かに楽」って感じです。ただサイドの額縁が極狭になっているのでポートレートで使う時は持ち方に少し気を遣います。特に寝モバで画面を下にして保持する時は悩ましいです。動画、というかランドスケープならまだ手を添えるスペースがあるのでなんとか。

画面はRetinaに慣れてる目だとやっぱりショボいです。小さくなったことでiPad2よりは精細感があるんですが、どうしても文字がアンチエイリアスで滲んでるのが気になります。一般的な30cm位の視距離ならそうは気にならないんですが、近視のσ(^^)は夜寝モバする時にはメガネを外すので必然顔をぐっと近づけることになりその結果、気になってしまうことにw。特殊な利用方法かも知れませんが、心当たりのある方はご注意下さい。昼間専用にすりゃいいんですけどね。

充電端子はこれでiPhone5とあわせて2台目のLightningになりました。こうなるとiPad3も4にかえて揃えたくなりますね。というか、Lightningケーブルを30pinドックコネクタにする充電アダプタが欲しくなります。ベッド周りにこれ以上ケーブル増やしたくないんですよね…

スピーカーはせっかくステレオになりましたが、動画見る時(ランドスケープ)は片側に寄っちゃうのでまぁ割とどうでもいいかなぁ。

ケースがまだ届かないので裸で使ってますが、背面はかなり指紋まみれになりますね。同じブラック&スレートのiPhone5はすぐにケースつけたので気付きませんでしたが。

以下、用途別インプレ。

■動画 [○]

上々です。解像度的にはiPad3に及びませんが、1280×720程度のファイルを見る分には取り回しの良さのメリットの方が大きい気がします。特に寝モバする時は結構手が疲れるので。アスペクト比がワイドでないので無駄も多いですが、それでもiPhoneよりは迫力があり、iPadよりは疲れないというバランス。むしろ上に書いたとおりスピーカー配置は惜しい。自宅枕元にはAirMac Express 2011のつながったコンポがあるので、AirPlayしながら見るのがいいかな。

■電子書籍

・Kindle [△]

iPad3でダウンロード済みのコミックを入れてみたんですが、iPadでは発生しないモアレがminiでは発生します。解像度が低いから当然とも言えますが、ピンチズームしても消えません。どうもiPad3とiPad miniでは落ちてくるファイルが違うんじゃないでしょうかね。そういえばiPad miniではダウンロードがやたら速くて感激したんですがぬか喜びだったかも知れません。高解像度ファイルをiPad側で縮小した方がモアレにならず綺麗に表示できそうなので、Amazon側で仕様が変更されるといいですね。追々、ファイラーなどでファイルを移動したらどうなるか試してみたいと思います。残念ながらファイルサイズ比べてみたら同一のものでした。

・自炊(小説) [△]

ランドスケープで文庫本を見開きにすると原寸感覚で良いです(実際の表示サイズでいえばむしろ小さいんですが)。逆にポートレートだと解像度の低さが目立って残念な気持ちになります。使用アプリはComicGrass、i文庫HD。

bREADERのiPad版が来ればガラリと状況は変わるんでしょうけどねぇ。

それでもiPhone+bREADERの組み合わせに比べるとメリットはあまりないですね。これに慣れると、iPad miniといえど「目動かす範囲広くて辛っ!」って感じになります。

・自炊(コミック) [○]

これは割と普通に読めます。元がそれなりの解像度で取り込んであればモアレなども気にならず自然。単行本感覚で読めますね。

■その他

iTap RDP

Windowsマシンのリモートデスクトップ接続クライアントです。この端末サイズでWindowsが使えると思うとちょっとワクワクします。フレームレート的に動画視聴は厳しいですが紙芝居ゲーを寝転がってプレイするにはいいんじゃないでしょうか。それでもまぁフェードみたいな画面エフェクトがガタついたり音声が途切れたりはしますが。

PADD

STARTREKの劇中で使われるパッド端末の画面を再現した娯楽アプリです(実用的な機能はありません)。iPad miniのサイズ感が劇中のPADDまんまでトレッキー的にはちょっと昂ぶります。ポートレートモードがないのが惜しいですね。

 

総じて見ると、娯楽性の高い分野ではやはりRetinaディスプレイにならなかったのが残念すぎますが、一般的な情報端末としてはとても手頃なサイズだと思います。例えばキッチンでCookPadアプリでレシピを見るなんて場面ではとても手頃なサイズだと思います。RSSリーダーでサイト巡回して未読消化するのも捗ります。フルサイズiPadと違って持ち歩けるサイズなので、LTE版も視野に入りますね。σ(^^)は携帯がiPhone5なので見送りましたが、逆にそちらがテザリング対応機じゃない人は、モバイルルーター兼用でLTE版を持ち歩くのもありでしょうねぇ。料金プランが楽しみです。

実家私室用シアターシステムを買い換え SONY HT-380

あと一週間で失効する楽天ポイントが2万円近くあることがわかったので、壊れたまま放置していた実家私室のシアターシステム(イオンで12,800円位で買った海外品で妹夫婦にプレゼントしたものの埃を被ってたので回収して再利用していたもの)を買い換えることに。

せっかくプロジェクターをつけてるのに、音がヘッドフォンだけというのも切ないので。

もともとあまりお金をかける気もなかったので、フロント設置のバータイプのものを考えていたんですが、スクリーン位置だと距離離れてしまい音量をあげないと聞こえなくなりそう(隣室に迷惑)だし、視聴位置であるベッド前だと置ける場所がないし、ということで、セパレートも視野にいれることに。重視した要素は、

  • レコーダーとPCからの二系統以上の入力をもっていること
  • HDMIの場合はスルーアウトをもっていること

あたり。最悪、元々使ってたのと同じ、同軸/光デジタルのみのDTS止まりのでもいいやと思ってたんですが、それでもバータイプだと1万数千円程度(サブウーファー無し)。結果として選んだSONYのHT-SS380が2万ちょいとほとんど差がありませんでした。

HT-SS380が価格以上に豪華だなと思った点は、

  • 3Dまで対応のHDMIが3系統もある(もちろんスルー出力付き)
  • その上、光x2、同軸x1の入力もある
  • マイクを使った自動音場補正機能がある
  • Dolby-True HDやDTS Master AudioといったBDのロスレス規格にも対応
  • テレビやレコーダーのEPG情報で自動で最適なモードを切り替える「オートジャンルセレクター」

など。入力系統が豊富なのは後々例えばAppleTVなりを増やした時にも対応が楽なのでポイント高いです。まぁ、液晶モニタとプロジェクターがあるので、どのみち出力切換/分配が必要でセレクターを廃止はできないんですが。バータイプを中心に入力インターフェイスを気にして物色してきましたが、この価格帯でこれだけ豊富なのは珍しいと思います。バータイプの単価が相対的にセパレートより高いんですかね?あるいはパネル面積の問題?

自動音場補正なんて単体AVアンプにしかついてない機能だと思ってましたが、こんな安い機種にまで下りてきてるとは。まぁソフトウェアを作ってしまえば、後はマイク端子つけるだけなのでそんなにコストかかんないんですかね。

オートジャンルセレクターはSONYのレコーダーを使ってるのでまぁ、あるといいのかなと。ただモードは「スタンダード、ムービー、ドラマ、ニュース、スポーツ、ミュージック」といことでアニメはどうなるんだろw(後述)。

ちなみにバータイプではPanasonicのSC-HTB20-Kも候補になりました。これはバーの真ん中でボキっと折って左右に立てて利用するなんて芸当ができます。ただ、まだ最近出たばかりで実売がHT-SS380より高かったので、じゃぁリアル5.1chの方がいいだろということで見送りました。

■ハード周り

さすがに廉価機種だけあってスピーカーケーブルは(スピーカー側に)直付け。基本的にテレビラックに設置する前提らしく、センターとフロント左右スピーカーのケーブルが短めで、今回の設置条件だと不足でした。仕方ないので、前後左右の4スピーカーは型番も同じだったので適当に入れ替えて使用。センタースピーカーはケーブルちょん切ってホームセンターで買って来たダブルコードで延長しました。まぁケーブル長がどうのと接点がどうのとかいうかいうグレードでもないだろうとw。アンプ側は独自コネクタでつなぐのは簡単です。

本体はデジタルアンプらしくスカスカで軽いですが、設置してしまえばフロントパネルはそこそこの顔立ちじゃないですかね。とりあえずSONYレコーダー(SKP75)とは幅もピッタリでマッチします。SKP75の方が若干奥行きが短いので上にしました。

リモコンも他デバイスの金型を再利用してる感じでかなり安っぽいですが、まぁSONYレコーダーも操作できるしいいかと。ただ15秒スキップボタンとかないので、個人的にはこれでレコーダー操作もまかなえる気はしないんですが。

■気になる音質

さすがに2chでエフェクト無しで鳴らした時はスカスカでちょっと切ない気がしました。ただ各種エフェクトをONにすればまぁ価格なりの音では聞けるかなという感じ。

先述のEPG連動モード切替機能「オートジャンルセレクター」ですが、マニュアルによるとアニメはA.F.D.Standardというモードになるようです。これはサラウンド効果は無効で、サブウーファー用LFE信号がない時は自動で生成、というモードらしい。んー、微妙。自分でどのモードにするかカスタマイズできるといいんですけどね。というかプロジェクターで見るのはほぼアニメだけなので、別にそのモードのままにしとけばいいかって説もw。

 

今回はあまり設置環境に自由が効かずやや無理め(不均等)なスピーカー配置をしましたが、自動音場補正で適当に最適化してくれる(だろうと思える)点は安心感が高く、また入力端子が豊富でセレクターとしてもかなり拡張性が高いので、コストパフォーマンス高い製品だなという印象です。

Passbook用パスを自炊してみた

passbook_test2iOS6の新機能の1つにPassbookというのがあります。iPhoneをイベントチケット、交通機関搭乗チケット、ポイントカード、プリペイドカードなどとして利用するもので、サービス毎に個別アプリをインストールしなくても、Passbookアプリの中にそれらをまとめることができます。現行のiPhoneはFelicaやNFCといったおサイフケータイ系ハードを搭載していませんが、画面に表示したバーコードをレジのリーダーに読ませることで自動入力することができます。イベントや搭乗の時間や場所に近づいたら通知センターで知らせたり、それらの変更やプリペイドカードの残高をネットワーク経由でプッシュ更新したりできます。お財布が薄くなる上に様々なリマインド機能もあるのでどんどん活用してみたいのですが、残念ながら日本ではまだ対応サービスがあまりなく、ぐるなびやHOT PEPPERなどの飲食店クーポン程度。そこで、今日「劇場版 魔法少女まどか★マギカ」に行くのを機会に、イベントチケットの自炊をしてみました。

passbook_test

■Passbookパス概要

  • テキストファイル(JSON形式)+各種画像ファイルで構成
  • iOS Developer Program(有料)の開発者証明書で署名しないと実機にインストールできない
  • プッシュ更新には専用サーバーを用意する必要がある
  • 配布はWebからダウンロードやメール添付、もしくはアプリ内で生成する方法がある

という感じ。開発者登録が必要なのはちと残念ですね。とりあえず今回はサーバー更新は必要ないので、「映画館近くまで行ったら発券用の予約番号を通知してくれる」ということを目標にしてみます。

■Apple配布のひな形を改変する

参考資料としては、Appleがこちらで公開している「Passbook プログラミングガイド」を使います。P.8に「開発者向け素材のダウンロード」というリンクがあり、そこを辿ってpassbook_materials.dmgをダウンロードします(要開発者ログインID)。マウントするとPassesフォルダにイベントチケット、クーポン券など目的別のサンプルがあるので、フォルダごとどこか読み書き可能な領域にコピーします。今回はEvent.rawフォルダをコピーして使用。pass.jsonというテキストファイルがメインの定義ファイルとなります。というかこれ以外にはあと画像があるのみです。pass.jsonでハマったのは、以下。

passTypeIdentifier: developer.apple.comであらかじめ取得したpass.com.hoge.passkitみたいなIDを指定。取得方法はアプリIDと同じなので開発者なら迷わず取れるでしょう。

teamIdentifier: ガイドの和訳がいけてないので紛らわしいですが、英数字10桁のアプリIDの前につくアレです。

この2つが証明書のものと同じでないとエラーになります(iPhone上で表示まではいくけど取り込めない)。

serialNumber: シリアルナンバーです。これとPassTypeIdentifierが同一なら同じパスの更新と見なされ上書きされるようです。

webServiceURL: 今回は使用しないのでダミーでいいんですが、https://にしておかないとやはりエラーになって取り込めません。一応無駄パケットはとぶかもなので、自前サーバーなど迷惑のかからないところを指定します。もしかするとこの行自体なくてもいけるのかな?

以下、上のサンプル写真と対比させながら指定していきます。

logoText: 「チケット購入」となっている部分です。Passbookに複数のチケットが入って一覧した時にここが見えるので、もう少し具体的な名前にしておいた方が良かったなと思いました。

relevantDate: イベントや搭乗の日時です。注意すべきは「2012-10-08T16:30+09:00」のようにタイムゾーン指定(この場合は+09:00)が必要な点。また+9:00ではダメで+09:00とする必要があります。

locations: 対象地点です。緯度と経度を指定します。relevantTextフィールドを追加しておくと、通知画面でのメッセージになります(冒頭画像でいう「映画館に近づきました」の部分)。

barcode: バーコード生成部分です。今回は不要ですが一応発券番号を出して見ました。messageが実際のコード。下に数字も出したい場合は、altTextという項目を追加します。行を追加する時はカンマに気をつけましょう。数字はいるけどバーコードが不要な場合は後述のauxiliaryFields辺りに表示しておけば良いでしょう。

organizationNameやdescriptionは券面には反映されないようです。foregroundColor(文字色)、backgroundColor(背景色)はそれぞれRGBの値を0~255で指定します。

eventTicketの下に、primaryField、secondaryFields、auxiliaryFields、backFieldsなどがあり、券面に表示される文字列を指定できます。keyは適当でいいと思いますが重複しない方がヨサゲ。labelが見出しでvalueが内容です。フォントサイズの指定がよくわからず、残念ながら作品名が途中までしか表示できませんでした。サムネイルを無くす手もあるかも。

一応、eventTicket部分をそのまま貼っておきます。auxiliaryFieldsはひな形にはなかったので追加しました。

"eventTicket" : {
    "primaryFields" : [
      {
        "key" : "event",
        "label" : "作品名",
        "value" : "劇場版 魔法少女まどか★マギカ"
      }
    ],
    "secondaryFields" : [
      {
        "key" : "loc",
        "label" : "劇場",
&#1
60;       "value" : "ユナイテッドシネマ豊橋18"
      }
    ],
    "auxiliaryFields" : [
      {
        "key" : "time",
        "label" : "上映日時",
        "value" : "2012-10-06 21:00-23:30"
      }
    ],
    "backFields" : [
      {
        "key" : "terms",
        "label" : "使用仕様上の注意",
        "value" : "試験的に自作したPassbookチケットです。"
      },
      {
        "key" : "website",
        "label" : "劇場アクセス",
        "value" : "http://www.unitedcinemas.jp/toyohashi/about-theater.html"
      }
    ]
  }

■画像について

thumnail.png: 画面右側に出るサムネイルです。サンプルのサイズは112×142でした。

background.png: 背景です。イベントチケットの場合は自動的にぼかしがかかります。サンプルではthumnail.pngと同じもののようでしたので、今回も名前だけかえてコピーして使いました。ちと文字が読みづらいのでもっとスッキリしたものを用意した方がヨサゲですね。

icon.png: 通知センターに表示される時に使われます。29×29。写真一枚目のまどかの顔。

logo.png: 写真中の左上にあるアップルロゴです。30×35。今回はそのまま使用しました。

またそれぞれにRetinaディスプレイ用に縦横倍のサイズのものが必要で、ファイル名の最後に「@2x」をつけます。

 

用意するデータはたったこれだけ。pass.jsonと画像4種x2サイズの9ファイル。これをmadomagi.pass.rawなどと名付けたフォルダに集めておきます。

■電子署名する

先にも書いた通り、iOS Developer Programに加入していることが前提です。まず「キーチェーンアクセス」を起動し、証明書アシスタント->認証局に証明書を要求…を開き、「ディスクに保存」でCertificateSigningRequest.certSigningRequest(いわゆるCSR)というファイルを生成します。これを使ってdeveloper.apple.comで証明書を取得(この辺りは開発者なら手慣れてるでしょうから割愛)。ダウンロードした証明書をキーチェーンアクセスに登録しておきます(CSRは削除してOK)。

次にサイン用のCUIツールsignpassをビルドします。冒頭のキットにXcode用プロジェクトが含まれているので開いてビルドするだけです。出来上がった実行バイナリの見つけ方はガイドに書かれています。ここまでできたらターミナルから、

signpass –p madomagi.pass.raw

とするだけ。問題がなければmadomagi.pass.pkpassというファイルが出来上がります。これがチケットです。

ちなみに、Webサーバーでリアルタイムに生成した場合は、RubyやPHP用の署名ツール実装もあるみたいです。iOSアプリ内で生成する時はPasskitというフレームワークを利用できます。

■Webで配布する

これを単にメール添付でiPhoneで送る分には特に問題ないですが、Webサーバーに置いてSafariからダウンロードする場合は、サーバー側にpkpassという拡張子のMIMEタイプを設定しておく必要があります。Apacheの場合、適切な場所に以下を追記します。今回は/etc/mime.typesに追加しました。

application/vnd.apple.pkpass    pkpass

 

なお、ダウンロードでエラーになったり、表示はされるのにPassbookに取り込めない場合は何かしらエラーになってます。実機ならXcodeのコンソールで見えられます。またiOSシミュレーターに.pkpassファイルをドロップしても検証でき、その際はOSXの「コンソール」アプリでエラーメッセージが読めるので捗りますよ。

■もっと簡単に作ってみたい!

この記事を書き始めてから気付いたんですが、ここにWebフォームで簡単に生成できるジェネレーターがありましたw。もっと簡単にやってみたいって人は挑戦してみて下さい。とはいえ、自分の会員番号や予約番号を外部サーバーにアップするのは自己責任で。あと開発者証明書はどのみち用意しないとダメっぽいです。

べ、別に技術検証したかったんだから悔しくなんかないんだからねっ!

 

開発者IDが必須なのは残念ですが、それさえクリアしてしまえば割と簡単に自炊できることがわかりました。身内のパーティや勉強会などで配布してドヤ顔するのもアリじゃないでしょうか。「入っておくのエレベーターで○階の受付までいって、係に○○と伝えて下さい」みたいな情報を建物前で慌ててメールを探らせることなく自動通知できるなんて素敵ですやん?

当面はiOSしか利用できないので、一般企業がどれくらい参入するのかは未知数ですね。