Microsoft Teamsとカレンダーを個人カレンダー(Apple/Google)と一緒に扱う方法

最近のテレワーク気運でMicrosoft Teamsのオンライン会議を設定する/される機会が増えてきました。呼ばれて参加する分にはほぼゲスト参加なのでメールでURLだけもらってブラウザ上で参加するか、MSアカウントでサインインしていないTeamsアプリを使えばOKです。が、自分で会議を設定するとなるとTeamsアプリまたはOutlook.com(Web/アプリ)のカレンダー画面からスケジュールを入力し、「Teams会議」スイッチをONにする必要があります。こうなると、もともとAppleやGoogleのカレンダーでPC/スマホで同期管理していたメインのスケジュールと、Teams上にしかないスケジュールが存在することになり大変管理しづらく、またダブルブッキングのリスクが高まります。ファイルやWiki、チャットなどでTeamsアプリを常時開いているような人はいっそTeamsですべての予定を管理したらと思うんですが、プライベートな予定は非表示にできないぽいんですよね(Outlookからならできる)。また家族との共有スケジュールも入れられません。

どうにか一元管理ができないかとGWのヒマにまかせていじってみました。

理想としては、

  • 現在の主なカレンダー情報はGoogleカレンダー。家族との共有カレンダーも含め5,6個のカレンダーがある。
  • Teams会議をTeams上からしか設定できないのはまだ良い
  • しかしそれを他のカレンダーと重ねて一覧で見たい
  • 予定画面から直接Teams会議ボタンないしURLで参加したい
  • Windows/Mac/iPhone/Androidでシームレスに管理したい
  • できればWebブラウザよりはアプリが好み

くらいできればいいなと。

■Teamsの予定をCalDAVやiCalなどで外部同期することはできないっぽい

はい積んだ…

調べた限り方法はなさそうでした。これができれば使い慣れたiPhone/Androidのデフォルトカレンダーなどが使えて話は簡単だったんですが。

■Outlookアプリ

Teamsを含むMSサービスのメール、カレンダー、TodoなどのフロントエンドアプリとなるのがOutlookです(またはWeb版のOutlook.com)。Teamsを使っているMSアカウントでサインインすれば普通にカレンダー画面からTeamsの予定が参照、作成できます。Teams会議へのリンクボタンも表示されます。またWindows/Mac/iOS/Androidそれぞれにアプリがあり、Office利用者(サブスク/買い切り)ならパッケージに含まれているはずです。

私はもともとiOSとAndroidではメーラーとしても気に入ってこれを使っています。一方、Windows/Macではいまいちい好きになれずThunderbirdをまだ使っています。ちょっとした便利機能拡張みたいなところがOutlookは全然足りないのですよね。

またWindows10環境でOffice365アカウントを追加できない問題に遭遇しました。Outlookのサインインシステムが二段階認証に対応してない、とかまさかの説を見かけましたが定かではありません。ワークアラウンドとしては、Windows10のコントロールパネルの「メールとアカウント」で「メール、カレンダー、連絡先で使用するアカウント」から追加すればOKとのこと。私はOneDrive for Businessで365のアカウントを追加済みなので、この画面の下側の「他のアプリで使われるアカウント」の方にはすでに登録済みでした。なるほど、それとは別に重複して上下に登録するというのは盲点でした。実際ここから追加するとSurface Pro XではOutlook上にアカウントが出現してTeams予定も表示できました。ところが別のデスクトップPCでは同じようにしてもダメ。Outlookのプロファイルを一旦削除してやり直してもダメ(コンパネで登録したアカウントがOutlook上からは見えない)。

Macやスマホでは問題なし。ただ、アプリを起動したらもうひと手間、「メール」タブから「カレンダー」タブに移動しないといけないのは微妙。

 

■Windows10標準のカレンダ-

Windows10に最初から入っているヤツ。ストアだと「メール/カレンダー」でセットになってインストール/アップデートできるヤツです。最近デザインがリニューアルされて随分見やすくなり、Windows上でのカレンダーとして使っていました。こちらも先ほどのコンパネで設定したアカウントのカレンダーを一元で扱えます。Googleカレンダーももちろん対応。「オンラインで参加」というボタンをクリックすればTemas会議として登録される模様。詳細欄に会議参加リンクも表示されます。また難点としては「チャンネル」の指定ができないという点。Teams上で複数のチャンネル(プロジェクト)を作成して使い分けている場合、これから作成した予定はどのチャンネルに属する会議なのかを指定できません。これは惜しい。会議への参加はCtrl+クリックをしないといけない分ちと面倒。

あとこちらはMac版がありません。

■現状まとめ

  • Teamsの予定はMS製カレンダーアプリでないと同期できない
  • iOS/Androidは元から使っていたOutlookをカレンダー用にも使う
  • Windowsでは「カレンダー」を使用(メーラーはThunderbird)
  • MacではOutlookをカレンダーとして使うものの、メーラーとしてはまだ微妙(Thunderbirdと使い分け?)
  • いずれにせよTeams会議の作成はTeamsから(でないとチャンネル指定ができない)

かなというところです。メーラーがOutlookで気にならない人かつ問題なくアカウント追加できてる人はメールとまとめてOutlookで使ってもいいかも知れません。またWebアプリが気にならない人はOutlook.comが一番クロスプラットフォームで共通の操作感が実現できていいのでしょう。

ToDoみたいにカレンダーもMac版を出してくれたらいいなぁと思います。

仕事用デスクトップメモリ増設メモ

Adobe Premiere Proの4K編集する際の推奨メモリ要求が32GBになっていました(2019辺りから?)。16GBでとりたてて不足は感じてなかったけど、更に快適になるならと思い増設。

マザーはASUSのH97M-E、チップセットはH97 Express。DIMMスロットが4つで最大32GBまでというのが公式仕様。デュアルチャンネルなのでもともと8GBx2枚が刺さっていました。ので残りにペアでこちらのメモリをチョイス。

2015年発売となっていますが、CPU-Zによる製造週は2020年の第7週と出ました。2月頃?普通にロットは入れ替わってるようですね。他のクロックなどの仕様も既存メモリとそっくり同じぽく、今のところ問題なさげ。

もともとPremiere起動しても半分くらいしか使ってなかったのでそんなに不足はしてなかったのかな?そもそもせいぜい数分のクリップしか扱わないし。まぁでもそこから音声編集でAudition起動したり、Photoshopで挿入画像作ったりしがちなのでこの値段なら安心料として入れておいてもいいだろうと。

■あとはUSB 3.2 gen2だが道は、、

システムもSSD化してるし、エンコード時間はそりゃスペックに比例して速くはなるんでしょうけどどうせ放置だしあんまり体感には効かない。唯一気になってるのはUSBが3.0止まりなこと。3.2 gen2のポートがつけられればSDカードなどからの読み込みも速くなって4K動画やRAW写真の取り込みが効率化できるんだろうなぁと思うんですが、このマザーはPCIeスロットが

  • 1 x PCIe 3.0/2.0 x16 (x16 mode, gray)
  • 3 x PCIe 2.0 x1

という構成で、x4スロットがないんですよね。x16スロットにはGTX1080が刺さってるので、あとは最低速のx1しかなく、x4を要求するUSB3.x増設カードが使えない、、

唯一残された手段はGTX20x0系カードでUSB-Cポートがついたものに換装だけっぽい。うーむ、最近ゲームはあんまりしないからUSB高速化のために10万近い2080買ったり、格落ち感のある2070に7万とか出すのもなぁ(1080より2070上位の方が性能上なんだろうけど)。

今更LGA1150のマザーも買えないでしょうしね。やぱりPCごと買い換える踏ん切りつくまで妥協かなぁ。

 

ATEM Mini Proのお供にSandisk Extreme Pro ポータブルSSD

2021.2.18追記:

ここ最近のファームウェアで何故か本SSDで録画ができない状態が続いています。少し前のアップデートでもSSDの互換性に関する問題が修正されてりしてて、そのうちこのモデルに関する問題も解決するかもなと様子を見ていたのですが、本日リリースされていた8.3でも相変わらず。そろそろ見限ることにします。

現象としては、接続するとATEM MINI Pro上のランプはグリーンに点灯するのですが、RECボタンをおしても録画が開始されないという状態。他のディスクなら問題なく録画できています。SSDのフォーマットはexFATにしています。

やはりあちこちの動画で刺さっているSAMSUNGが良さそうです。このSanDiskはPS5の外付け用にしようかなと思っています。

以下、元記事です。

—-

ヨドバシで予約中、納期まったく不明のATEM Mini Proですが、USB経由で外部ストレージに録画が可能になっています。USB Webカメラ出力と排他ような気がしなくもないですが、まぁ使う機会があるだろうと専用のストレージを用意しておくことに。ちょいと気が早いけれど、au Pay祭りのポイントを期間限定のau WOWMAポイント化(1.5倍)して有効期限が迫ってたので、、

動画なのでランダムアクセス性能はあまり発揮されないけど、業務用なのでデータ消失リスクを減らしたかったのと、そのままPCにマウントして簡単な編集作業が快適にできれば便利かなと思いSSDで物色。ATEM Mini ProのUSB-C端子はGen1(5Gbps)止まりですが、PCにマウントした時により快適になればとGen2(10Gbps)対応のこちらの製品にしました。

読み出し最大1050MB/秒を謳っています。1秒1ギガバイト!もはやコピー先の書き込み速度の方が問題になるレベルです。OS入れてネットカフェ持ち込み用システムを組んでみたい速度ですが、最近そういう機会もないしなー。

ATEM Mini Proの録画時のビットレートは仕様表に書いてなかったですが、所詮フルHDなので仮に50MB/sで1時間録っても2GB程度、UTを1案件録っても足りなくなることはないだろうということでお値段手頃な500GBモデルをチョイス。

手持ちの現役PCでは、MacBook Pro 15′ 2016、DELL XPS9575、Surface Pro XともにUSB 3.1 Gen2対応なのでインターフェイスとしてはフルに活用できそう。現場でクライアントにそのままコピーを渡す時にも少しでも速いに越したことはないでしょう。

■ハード周り

幅がちょうど4インチのiPhone(SE/5系)と同じくらい。高さはやや高いので、今手元にないけど3.5インチのiPhone4あたりに近いかな。一般的な2.5インチHDDをケースに入れた製品よりはだいぶコンパクトで荷物を少しでも減らしたい出張現場に良さげ。カラビナとかつけられそうなループ穴がついていてヘビーデューティな雰囲気ですが、まぁ使うことはないかな(笑)。防塵防滴仕様でアルミボディ。クルマに轢かれたらどうなんだろ。薄い一度くらいならなんとか耐えてくれないかな。背面は肌触りの良いゴムっぽい触感。数年後に加水分解でベタっとしてこないか不安なヤツです。製品写真ではブラックぽいですが実際は写真のように紺色ですね。真っ黒の方がオレンジが映えた気がしますが、まぁ悪くない。

■付属品

端子はUSB-C。ケーブルとしていい感じに短いのがType-C用と-A用が付属。この手の製品にありがちなキャリングポーチみたいなものは付属せず。もちろんカラビナも(笑)。

■ソフト面

フォーマットは最初からexFATでWindowsでもMacでもATEM Mini Proでも使える感じ。

暗号化ソフトはWin/Mac両方あり、Windows用は中に入っており、Mac版はダウンロードという感じぽいです。ATEM Mini Pro用なので暗号化はしないで利用予定。

 

ATEM Mini Proでたまの実務で使うだけにはもったいないスペックですが、SSDとしても目ん玉飛び出るほど高額というわけでもないので、通常の持ち歩き&データ交換用ストレージとしても充分実用的じゃないかと思います(暗号化ツールもあるし)。ちょっと仕事相手に大きなデータ渡す時にもキラリと光るデザイン性も(最近USBデバイス使えない企業さんも多いですが…)。

P.S. コスパ重視の代替候補を探すなら…

これとかいいかもですね。同じGen2で2.5inchドライブより小さい仲間で容量もほぼ同じでナント半額以下で買えます。Gen2でもカタログ性能では530Mbpsなので、中身がSATA接続のM.2ドライブなのかも知れません。

Surface Pro Xを一ヶ月使ってみて

2020年1月14日の発売日に購入したSurface Pro Xですが、一ヶ月ほど使ってみてのレビューを改めて。

■パフォーマンスは充分

遅くて困るというようなことはほぼありません。Visual Studio 2019でC#開発作業をしようとした時はさすがにモタつきを感じましたが、普段のWeb、メール、Office、VSCode、Windows Terminalなどの使用は問題無し。

■非互換性の問題

プリンタドライバ周りがかなり厳しいでしょう。個人的にはあまり印刷自体しないし、いざとなれば他のPCがあるのであまり実害はできていませんが、家中のプリンタとつながってない感は悔しいです。

また個人的に一番困っているのは日本語入力関連。ATOKがArm64ネイティブアプリに対して使えない点です。Chromium Edgeのリリース版もネイティブ化されましたのでより顕在化しています。またATOKとMicrosoft IMEを行き来しているといつのまにかMS-IMEが正常に機能しなくなったりします(ctfmon.exeを手動で起動すると少しおいて復活するような気もしますが、ダメな時はOS再起動しないと復活しません)。色々試した結果、アプリケーション毎のIMEを切り替えるのをOFFにすれば大丈夫ぽいですが、今こそアプリ毎にIMEを使い分けたいので不便極まりないです。自動切り替えができないので、32bitエミュレーションのソフトとArm64のソフト毎にWin+Spaceを押して切り替えています。この状態ではMS IME自体がまったく使えなくなる、という状態は避けられますが不便、という感じです。Windows Insider ProgramでSlow RingやFast RingのWindows10を入れたりもしてみましたがこの辺はあまり手が入っていないようです。MS IMEが消える問題はKnown Issuesで見かけたので一応将来のバージョンでは治るかなぁと期待しています。ATOKはATOK側の対応なのかなんなのか不明ですが祈るしかないという状況です。

他に使えなくてがっかりしたのはELECOMのトラックボールとか。他社マウスも含めカーソルと左右クリック、ホイールみたいな共通部分は問題なく使えますが、各モデル特有の追加ボタンなどを活用するには専用ドライバやユーティリティが必要で、それがArm64に対応してないとアウト、ということです。現状Microsoft純正マウスくらいしか完全活用できるマウスはなさそうです。

■LTEの不調

docomoまたはdocomo系MVMOのSIMを場合によって使い分けていますが、たまに不調でつながらないことがあります。つながってもHSDPAとかいう懐かしい接続モードになって(つまりLTEになってなくて)速度が出なかったり。iPhoneでバリ5表示の場所でもなったりするので、スマホよりも感度が低いのかなぁと思ったり。内部アンテナとかは伸ばせそうなものですが。

■ペン体験が素晴らしい

Surface Goと違ってペンをしっかり格納できるので常に常備して必要な時はさっと出して使える一体感があります。iPad ProにしろDELL XPS 15にしろSurface Goにしろ、マグネットでつけるだけでは無くしそうな不安があり、「ペンを使う」ってあらかじめわかってる日はバッグに入れておく、という感じでした。しかし本機はそういうことをいちいち気にしなくても、出先でふと使いたくなった時に取り出して使えるので、真の意味でペンコンピューティグを味わえている感があります。懐かしのPamlとかZaurusみたいな感覚。

とりあえずMicrosoft Whiteboardを活用してみようと思っています。

また仕事でインタビュー中のノート取りに今までiPad Pro 12.9′ + Good Note 5を愛用していましたが、先日のお仕事で本機を使ってみました。PDFの記入用紙に手書きで書き込んでいくのですが、WindowsではDrawboard PDFというストアアプリを使ってみています。ペンのスタイル(太さ、色、透明度など)をいくつもお気に入り登録して1タップで切り替えられるのが良いです。マーカーもフリーハンドのものとテキスト上をなぞる用が別々に作成できて使い分けできます。Good Noteに比べると多少不安定な感もありますが、クラッシュして(?)いつのまにかウインドウが閉じてしまっている時もデータは残っていました(ただし自動定期保存機能自体はない)。

Apple Pencil 2nd GenとPro XのSurfaceペンは書き味では良い勝負だと思います。少なくとも手書きメモ用としては差を感じません。

また本体の薄さや軽さも体感ではiPad Pro 12.9 2018とほぼ変わらず、トータルのハンドリングも充分代替になると思います。バッテリーの保ちだけもう少し保つといいなと思いますがWindowsなのでバックグラウンドでなにか刺さってればグングン減るので状況次第とも言えます。また充電スピードもいまひとつに感じましたがこれはUSB-Cを使ったからかも。一応100W PDのものだったんですが。次の時はきちんと純正充電器でSurfaceポートで比べてみようと思っています。

■背面の傷つきやすさ

ソッコで傷つきましたorz。ユニークなスキンシールも出揃ってきた感あるので、画面よりも背面に気を遣った方がいい機種なのかも知れません。

 

ともあれ、フルでWindowsが動いてこの薄さ、軽さというのはオンリーワンだと思うので、あとはArm64アプリやドライバーが出揃ってくれば評価は爆上げされるモデルなんじゃないかと思います。各メーカーがArm64の存在と対応の必要性を認識して動いてくれることを願うばかりです。

ホテルでもLANを構築したい。多機能モバイルルーターGL.iNet GL-AR750S

最近ホテル泊まりの出張が多いです。最近のホテルは有線または無線のインターネット接続が当たり前についていますが、基本的に端末間の通信ができないようにされているため、複数の持ち込みデバイス間で通信させようと思ってもできません(たまにザル設定でできたりもしますが、自分以外の端末も見えてたりしてそれはそれでゾッとする)。

従来はdocomoのモバイルルーターHW-01Lを持ち込んでいました。これはクレードルのLANポートにホテルの有線LANケーブルを接続すると自動的にAPモードに切り替わります。どうにもホテルの回線が遅い時はケーブルを抜けばWAN側がSIMによる通信に切り替わり、Wi-Fiにぶらさがる個々の端末は設定いじらなくて済みます。あるいはホテルにWi-Fiしかない場合も、HW-01Lは公衆無線LANモードがあり、WAN側をホテルWi-Fiすることができます。ただしどうもこれはルーターが電源供給されてないとダメだったり5GHz to 5GHzで使えなかったりと制約がありイマイチ。

またPCに動画ファイルを入れてSMBやDLNA、HTTP経由でスマホやOculus Questにストリーミング再生しようとすると、PC側を有線にしないとカクつくことが判明。HW-01LのWi-Fiは867Mbpsとモバイルルーターとしては高速な部類にも関わらず(もちろんPCもスマホも867Mbps対応機種)。スマホ/Oculusは仕方ないとして、PCを有線でルーターにつなぐと問題ないという実験結果に。しかしHW-01LのクレードルにはLANポートが1しかありません。SIMでつなぐ時はいいんですがホテル回線が十分高速な場合はWANとしてそちらを活用すれば自分のギガを消費せずにすみます。しかし単なるハブでクレードルのLANポートを分岐するだけでは、ホテルのWAN回線を使いつつ、PCをLAN内の端末と通信させる、という両立はできません。HW-01LはWAN接続(この場合ホテルの有線LAN)を検知した時点でルーターモードになってしまい、ハブでつながったPCもまたホテルのDHCPサーバーからIPをもらってしまいます。

長々と書きましたが、結局のところ

  • WAN側とLAN側でそれぞれに有線LANポートがついたルーターが必要
  • さらにWi-Fiアクセスポイントもあるといい
  • しかし家庭用は大きすぎるので、小型でかつ電源アダプタも持ち歩かなくて済むようUSB 5V駆動してほしい

というのが今回のニーズです。

国内メジャーメーカーのルーターはすべて小型とは言えず、電源も丸プラグのものばかり(多分12V)。ホテル用でWAN/LANポート1つずつのものは小型だけどWi-Fiはついてない、という状況。

しかし海外製品で見つけました!こちら。

サイズもふとプリントは小型スマホ並みで、きちんと技適も取得しています。OpenWRTというLinuxベースのオープンソースのルーターOSを搭載しており、追加パッケージで機能増強もできるようです。唯一惜しいのはWi-Fiが5GHz対応とはいえ433Mbps止まりな点。HW-01Lからすると半分に落ちます。しかし結果を先に書いておくとほぼ問題ありませんでした。

■GR-AR750S(Slate)はこんな製品

  • OpenWRTベースのLinuxで動く小型ルーター(SSHでシェルログインも可能)
  • micro USB端子による給電で動作する
  • 有線ポートはWAN用1、LAN用2
  • Wi-Fiは2.4GHzに加え5GHz対応(11ac/433Mbps)
  • microSDカードやUSB2.0端子に接続したファイルをSMB共有可能

など。VPNのサーバー/クライアント機能もあるようですが残念ながら事前共有鍵によるL2TP/IPSecには非対応の模様。公式サイトのフォーラムでも互換性の問題があって無理と中の人がコメントしてましたので現状では望みが薄そうです。ただ自社・自宅のVPNでなくいわゆるVPNサービスにつないでアクセス元を偽装したり、Cloudflareの暗号化DNSを使ってプライバシー保護(ホテル側のルーターにアクセス先を特定されにくい)周りは充実しているぽい。これもしかして海外から日本の動画配信サーバーみたりするのにも使えるのかな?まぁVPNサービスのスピードがネックになりそうだけど。

SMBサーバーになるのは嬉しい余禄でした。宿泊先で消化用に録り貯めた動画ファイルを入れたHDDを、いままではPCにつないで共有し、スマホや部屋のテレビにつないだスマートTV端末で見ていたんですが、これにPCを使わなくてよくなります。PCだと一定時間アクセスがないとスリープしちゃったりして地味に不便だったり。パスワードはかかりませんがLAN内なので問題なし。Oculus QuestのPigasusやSkybox VR Playerからでも問題なく視聴できます。4K超の高ビットレートの動画もほぼ問題なし(シークしてもほぼ一瞬。たまーに一瞬止まるファイルも)。

■ただし日本語UIの訳はかなりヒドいw

実用上、害があるとするかは微妙ですが、管理WebUIの日本語訳はかなり適当です。

画面キャプチャ写真

これはネットワーク設定画面ですが、「キャンセル」と並んで「アプリケーション」というボタンがあります。なんのこっちゃですが、位置的に考えて送信/確定ボタンとみて間違いないでしょう。Apply辺りの誤訳だと考えられます。こんな感じで「ん??」って思うところが散見されます。ボランティアでもうちっとマシな訳をコミットしようとOpenWRTのGitHubリポジトリを覗いてみたんですが該当箇所は不明。どうも基本設定の部分はGL.iNet社オリジナルのようですね。「高度設定」という画面以降はOpenWRTの画面に遷移するっぽい。ではとGL.iNetのリポジトリでもファイルを探しても見つからず。とりあえず、SSHログインして、/www/src/lib/lang/en.jsというファイルに(enという名前だけど)各言語の文言リソースが入っているのを発見。しかし書き換えてみても反映されませんでした。本製品はVue.jsで実装されてるっぽいですがなにかしらコンパイルが必要そうでギブアップ。とりあえずサポートに「次のリリースに反映してくらたら嬉しい」と書いて送ってみたところ、「ありがとう。開発者に渡しました。反映はコンパイルが必要。」とのこと。手元で試せるならもう少し真面目にやろうと思いましたがコンパイル手順は書いてなかったのでおとなしく次期リリースで少しはマシになると期待。

またローカライズという意味ではとてもヤバそうなのが5GHzの帯域。デフォルトでW52/53/56以外のチャンネルが選べるようになっておりautoでは案の定つながらなくてハマました。W52はいいとして、W56よりも数字の大きなチャンネルが選べるようになっており、当然それだと日本で流通している一般的なWi-Fiデバイスからはつながらないことになります。これも少しSSHして中を探ってみたところ、/var/5G_channelというテキストファイルがあり、これを修正すると設定UI上のプルダウンメニューからも消えることがわかりました。36-48はW52なので日本でも問題なし。149以降は日本で使われてないチャンネルですね。

ただこれを書き換えて反映させても、再起動すると元に戻ってしまう模様。またW53やW56のチャンネルを追加したとしてもDFUがキチンと働くかわからないのでとりあえずW52の4chのいずれかに固定して使っておくのが無難かもしれません。これもサポートに聞いてみようと思います(こんなんで本当に技適とおってるんかしらw)。

■WAN側をUSBテザリングにしてみる

管理画面をみると対応してるっぽかったので、iPhoneとHW-01Lの有線(USB)テザリングを試してみました。結果、どちらも「ホットスポット共有」というモードになってインターネットにアクセスすることができました。iPhoneのSIMはいちばん速くギガも60Gあるdocomo回線なので、さくっとそれを共有したい時は便利かも。iPhone側はインターネット共有をONにするだけで特に設定は不要でした。

HW-01Lは自分でいじったか覚えてないですがLAN IPが192.168.8.0/24だったので本機の初期値とかぶって警告がでました。本機は主ネットワークが192.168.8.0/24でゲスト用が192.168.9.0/24になっていました。とりあえず主ネットワークを192.168.7.0/24にして対応しました。

 

ともあれ1万円しない価格でこれだけのサイズと機能の製品はレアで価値がある気がします。ホテル滞在が快適になりそうです。