Surface Pro Xセカンドインプレ

いやぁ、Surface Pro X、話題にならないすね!発売日こそ各社が記事として取り上げましたが、メディアの記事は2,3件、5chスレでもほとんど購入報告なし。もちろん周りで買ったという声もゼロです。まぁそれくらいレア機の方が個人的には良い気分ですが、各ソフトベンダーがARM版出そうって思ってくれるくらいには売れてほしいもんです。

その後押しなるかはわかりませんが、さて三日程使っての追加レビュー。

■ギガビットLTE

用途の都合でせっかくのdocomo SIMを入れてませんで、docomo系MVNOのひとつLinksMateのSIMで運用しています。上り下りとも20Mbpsくらいでしょうか。せっかくdocomoのギガホが60Gになったので、もう1枚くらいデータSIMを追加させてほしいものです(1枚は車載で使用済み)。そのうち実験的には入れ替えてみたいと思います。

とはいえ20Mbpsも出てればほぼ体感的な不満はないです。ただちょうど時を同じくして出たChromium版Edgeに5つほどタブをピン止めしてあると、起動時に一斉にグルグルしてるのは気になります。バックグラウンドタブの優先度を落とす機能拡張でもないかな。

追記: グルグルはデスクトップ機でも発生しました。Chromium Edgeの問題ぽいですね。

接続自体は速いです。というか本当に常時接続なんですかね。スリープ復帰して顔認証してログオンした時点ではつながってる感じで、実際いつつながっているかは見てとれません。Surface Goは同じ瞬間だとまだ未接続でそこから数秒またされる感じで、ノート取り機としてはとても期待外れな感じでしたが、これならストレスなくサッと開いてすぐ書き出せる感じ。

ただ1回だけ突然接続が切れる現象がありました。LTEモデムを何度かOFF/ONしてるうちに復帰しましたが。ファミレス店内で電波は3/5くらいだったかな。

■Visual Studio 2019でコーディングしてみた

なんとなく開発ツールは今時64bit専用だろうというイメージがあってPro Xでの使用は完全に諦めてたんですが、調べてみたら32bit(ProXではエミュレーション)で動くということだったので入れてみました。WPF/C#のプロジェクトで2時間ほどプログラミング作業をしてみたところ、「快適ではないができなくはない」という感触。ちなみにデスクトップ機でビルドは秒で終わるレベルの簡単なアプリ開発です。コンパイル中にコーヒー飲めるような大規模プロジェクトだとまた印象は違うと思います。インテリセンスの補完とかXAMLのプレビュー描画に微妙につっかえる、みたいな非力さです。快適ではないです。ARM版VS2019でないかなー。

あとVS2019に加えChromeを調べ物用に開いてタブを3,4枚出した状態でタスクマネージャーを開いたらメモリが90%以上使用されていました。もしかしたら遅い原因はこれ(スワップ発生?)だったのかも。タスクトレイに常駐ものはいくつかいましたが、タスクバーでアクティブになってるのはVSとChromeのみって状態。これでほぼメモリ使い切ってしまわれるとするとやはり8Gでは開発作業は厳しい、、のかな。メモリ食いと言われるChromeの代わりに他のブラウザを使ってみたらどうかなとか思いますが、まぁ基本的にわざわざこのPCでやるこっちゃないなという印象です。最初からノマドでコーディングするならXPS 15をもって出かけます。いきなり出先で隙間時間ができたとか、最新ビルドをデモする必要ができた、みたいな時にやってできなくはない、というところですね。

ちなみにこの状態で2時間ほど作業をした後のバッテリー残は60%ほどでした。

■グラフィックアクセラレーション周りの不具合

前記事に書いたChromeでマウスカーソルが見えなくなった件に加え、新EdgeでもWordPressのエディターで文字入力をしている際に入力文字が真っ白で読めない(変換候補ウインドウには出る)という現象が発生しました。あとWindows Terminal(ベータ版)で背景透過が有効にならないとか。グラフィックアクセラレーション周りでちょくちょく微妙な挙動があります。さすがにIntelでもRadeonでもGeForceでもないグラボということで圧倒的に検証が追いついてないんでしょうかね。設定の変更で回避できる可能性もありますが、それについてもまだ圧倒的に情報不足な感じ。

■ACアダプタ

前記事執筆時点でまだ開封してなかったACアダプタを取り出してみました。箱に折りたたみACプラグが直付けだったSurface Goと違い、メガネコネクタのケーブルが生える形状(ケーブル2本出し)でした。早速ショートケーブルを発注。

出力的にはSurface Go用が15V x 1.6A=24Wなのに対し、Pro X用は15V x 4A=60Wあります。MacBook でいえばPro 13’級ですね。ただしUSB-CではなくSurfaceコネクタのケーブルが直付けなのでUSB PD充電器としては使えません。その代わりというわけでもないですばUSB Aの5V x 1Aの出力がついています。

GoとProXの付属ACアダプタ比較

Go用アダプタで充電できないこともないんでしょうけどさすがに出力が半分以下なので多めに時間がかかったり、Pro Xで全開仕様時に充電が追いつかないといったことはあるかも知れません。また自慢の高速充電(1時間で80%)を行うには以下の要件が必要となります。

  • Surface デバイスに付属する Microsoft Surface 65W 電源、または 60W 以上の USB Type-C 充電器に十分な電力が供給される。
  • 充電時の温度範囲が 25C (77F) ~ 35C (95F) である。

(公式サイトSurface の高速充電より)

その意味では一緒に持ち歩くなら60W以上のUSB PD充電器がよさげ。ただまぁいまのところ割と本体バッテリーの保ちがいいので、できるかぎり充電器を持ち歩かないで運用してみたいなと思っています。

適当に見繕うとしたらここらでしょうか(実際に高速充電できるか試したわけではありません)。

・現状最小クラス?

→結局買っちゃいました。

・スマホ用USB-Aポートあり

クセが強く要注意だけどイカすSurface Pro Xを買ったぜ

先月Surface Goを買ったばかりですが、結局年があけて1月14日、Surface Pro Xを発売日買いしてしまいました…

Surface Goの日本語キーボード配列がかなり特殊でどうにもしっくりこなかったのが主な理由です。特にスペースバーが長めで無変換キーの位置が不自然なところに来るのが辛い。親指を意識して深く曲げないと届かず、無変換のつもりでスペースキーの左端を叩いてしまうばかりでした。あとやはりPentiumはクロック制御が雑なのか、バッテリーで省電力優先モードだとクソモッサリになるのが難。給電していると全然平気なんですが。どちらも店頭仕様では気づき辛いトラップですね。

■Surface Pro Xの特徴と注意点

で、北米の遅れること2ヶ月(位だっけ?)、ようやく日本でもWindows7のサポート切れと同時に発売になったSurface Pro X。特徴は、スマホ/タブレットに近いARMベースのMicrosoft SQ1という独自プロセッサを搭載している点。CPUがIntelのCore/Pentium/Celeron/AtomやAMDなどのどれでもない特殊なPCということになります。その結果として、色々な意味でスマホやタブレットに近いハードウェアになっています。

  • スリープ中でも通信可能(対応アプリのみ)
  • 省電力、低発熱
    • その恩恵として非常に薄い筐体を実現
  • SIMフリーのギガビットLTE内蔵

イメージ的にはiPad Pro 12.9′ 2018に迫るハンディさです。スペック上はちょっとだけ厚いんですが手に持った感じではほぼわかりません。むしろキックスタンドを内蔵していると考えれば同等。重さはさすがにやや差が開きますが、キーボードとペンを合体させても1kg前後です。

iPad Pro 12.9′ 2018(左)とほぼ同じフットプリント
厚みも体感ではほぼ同じ
Surface Go(上)との比較

さてここまで聞くと最新Surface Proとして理想的に聞こえますが、ちょっとだけ制限があります。一般的なIntel/AMDのx86 CPUではないのでソフトに互換性がありません。Windowsにはいわゆる32bitとか64bitとかありますが

  • 32bit x86用ソフトはエミュレーションで動く(少し遅くなる)
  • 64bitソフトは動かない
  • ARM向けに作られたソフトがもっとも高速に動くがまだ少ない

という制限があります。普通にWindows10だから今までのソフトが全部使えるやろ、とか思っているとハマります。実際どれくらい困るかというと、普段どんなソフトを使っているか次第なんですが、一部の性能が要求されるソフトは64bitオンリーなものがぼちぼちあります。例えばPhotoshop CCやIllustrator CCは2019、2020は64bit専用です。動画編集ソフトのTMPGEncシリーズも何年か前から64bitのみとなっています。またゲームや3DソフトでOpenGLというライブラリを使っているものはアウト。これは具体的にどれくらい実害があるか不明です。たぶん紙芝居ゲーとかはDirectXを使っていてほぼイケるんじゃないかと思ってるんですが、これから追々検証です。

逆にいうとそれ以外の一般的なブラウザや事務ソフトなどは32bit/64bit両対応だったり32bitのみだったりするので動くことは動きます。なんの根拠もない肌感覚でいえばゲーム以外では9割方いける気がします。ただし32bitソフトもエミュレーション実行になるのでSQ1の性能がフルで出るのではありません。実際32bitとARM版があるFireFoxなんかでベンチマークすると結構差があるようです。

またハードウェアに密接に絡むドライバーやセキュリティソフトも互換性の問題が出やすいようです。実害としてはこちらの方が重大かも知れません。ウチでもCanonのレーザープリンターの1台がセットアップできないでいます。

32bit/64bit/ARMの作り分けはゼロからやり直すというレベルではないはずなので、追々ARM機のシェアが広がっていけばベンダー側ももうひと手間かけてARM版もリリースしとくか、という判断になっていくのではないでしょうか。その意味でMicrosoft自身がARM機を出した意義は大きいと思います。

とまぁそんな制限があるので、現時点では単に軽くて薄くてバッテリーがめっちゃー保つ2-in-1ノートと思って買うと足元をすくわれるかも知れません。一方で、Officeとメーラー、Webブラウザが使えればOKという人には有力な選択肢になると思います(ちょっと高いけど)。

■ラインナップと価格

モデルは8GB/256GBとしました。64bitアプリで高負荷な作業ができるわけでもないので、メモリは16GBあっても仕方ないかなと。個人的にはそういう時はXPS15 9575(16GB/1TB)があるので使い分けで。近い将来PhotoshopなんかもARMネイティブ版が使えるようになって、なんでもこれ一台でって人は16GBもアリかもですね。優秀なタブレットでもありますし。ストレージも128GBあればそう困らないかもと思って一旦は店員さんにそう伝えたんですが、1万円ちょいの差額なら喉元過ぎれば忘れるレベルだしなと思って128GB出してきたところで「やっぱり256GBにします!」とギリギリで翻意しました。正確な数字を覚えてないですが店頭デモ機が128GBモデルで半分近くOSなどで占有されてたような気がします。ちなみにPro Xはキックスタンドの内側にM.2スロットがあって簡単にSSDが換装できそうです。ただし現時点であまり流通していないサイズなので将来メーカー保証が切れた頃に対応モデルが出回る頃にその気になれば替えられる、くらいの意識の方がよさそう。

Surfaceは例によって個人向けはWindows 10 HomeにOffice 2019永年ライセンス版を抱き合わせのみ。ホントこれ勘弁してほしいです。Office365ユーザなのでOfficeはそっちの5台分のライセンスから入れればいいので不要。差額でむしろWindows 10 Proにしてくれた方が良い。つまり法人向けモデルになるんですが、個人(事業主)向けに売ってくれるところを探すのも大変そうだったので諦めました。そして常に最新版を使いたい派なので付属のOffice 2019のシリアルナンバーは使わずに365から入れているという…

そんなこんなで米国で$999だったはずのローエンドモデルが日本では14万2,780円(税込み)256GBモデルにペン付きキーボードと延長保証を入れたらほぼ20万です。まさにエグゼクティブ向けモデルですね(価格的な意味でも、ネットとOfficeとメールが使えりゃいい職能向けという意味でも)。正直モノ好きでなければオススメしづらいです。Armって何?って人にはSurface Pro 7かLTE付きProを薦めるかな。

■ハードウェア周りレビュー

とまぁ、SKUと価格には不満ありですが、とにかくWindowsタブレットとは思えない薄さがスマートで未来ガジェットあります。ただ両面ツルッツルで700g以上あるので裸で持ち歩くのはちょっとドキドキ。背面にストラップとかリングとか付けたいかも。もしくは摩擦係数高そうなステッカーを貼るか。キーボードを装着すれば片側はアルカンターラである程度はグリップするかな。ペンの収納部分も膨らんでるのでそちら側を持てば少しマシ。

液晶は充分綺麗だし、なんといっても短辺が1920ピクセルというのがスゴい。つまり縦持ちにしてもフルHD動画がドットバイドットで再生できるってことですね。

購入の決め手になったキーボードですが、山口さんの記事に倣って補助線を入れてみました。まずEとDのオフセット(ズレ)を比べると、Surface Pro X(左)の方はキーとキーの隙間分くらいのズレ方になっています。これが普通のキーボード配置なわけです。一方Surface Go(右)の方はキートップの半分くらいズレてます。むしろこれで帳尻があうのが不思議なくらいの違いです。

そして個人的により違和感があったのがスペースの左にある「無変換」キーです。Pro XではCの真下といってもいいくらいの位置関係なのに対し、Goではかなり左にずれてXとCの間くらいになっています。なので「無変換」のつもりがスペースを叩いてしまうことが頻繁にありフラストレーションだったわけです。

Surface Pro X(左)とSurface Go(右)のキーボード配置比較

またタイプカバー特有のたわみについてもPro X用の方がしっかりしている印象です。小さい方がたわみにくいイメージですが、むしろGoの方が軽くタイプするだけでもたわみが気になります。Pro Xの方はペン収納部の幅が立てた時には良い補強になってるのかも知れません。

バッテリーの保ちはまだなんともですが、とりあえずカフェでLTEつないでセットアップしたりこの記事を書いたりで2時間強使って7割くらい残ってる感じ。全然減らないな!って驚愕するほどでもないですが、バッテリー容量が少ないであろう割には粘ってるなという感じですかね。またスリープからの復帰も速い。Surface Goはかなりもたついたり、顔認証失敗したり、デスクトップ表示直後はまだLTEがつながってなかったり、そんな状態でアプリ起動すると「応答なし」が短時間起きたりして、なんだかんだで「さっと開いてすぐ使う」という感じがしなかったですが、Pro XはかなりiPadに近い感覚ですぐ使える印象。

USB Type-Cポートが2つあるのも良い。PD通電対応ハブをもってなくても充電しながらUSB機器が使えます。充電はSurface専用コネクタの方が速いんでしょうけど、せっかくの軽量モデルなので一緒に持ち歩く荷物も減らしたい。なのでUSB PD充電運用でいく予定。

ペンは「Apple Pencil2に匹敵」と前情報がありましたが確かに遜色ない気がします。まぁソフト次第ですが。ただ薄型というか楕円形状なので持ちやすさは劣ります。純正ペンは持ち歩き用と割りきって、もう一本互換性のある持ちやすいペンを持っておきたい。

薄型のSurface Pen
1ボタン+消しゴムボタン付き

キーボードの折り込み部分にペンが収納可能で、この状態で充電もされる。キーボードを折り返している時は写真のように剥き出しだけど、一応勝手に落ちないくらいのマグネット磁力はありそう?

■互換性メモ

ざっとセットアップした中で上手く動かなかったり苦戦したところをメモ。使用感は追々使い込んで追記していきます。

文字入力系

なぜかMicrosoftのCtrl2Capsをインストールしたり、そこら辺に落ちてる.regファイルを導入してても反映されず。ただ自分でregedit.exeを開いてその.regファイルの通り手打ちしてやったら反映しました。

ATOK Passportは既報通りArm版アプリには文字入力できないようで、FireFoxとかダメです。アプリ毎にIMが切り替わる設定にして、ArmアプリにはMS-IMEを使うようにするしかなさそうです。幸い個人的に必須なキーカスタマイズはできました(無変換でかなOFF、変換でONなど)。これで最低限のキーボード環境は整いました。

その過程でAutoHotKeyも試したんですが起動せず(タスクトレイにアイコンが出ない)、ブラウザでヘルプが開くばかりでした。

Adobe CC

Photoshop、Illustrator、Acrobatなどはやや古い2018が自動でインストールされました。まだ実際の作業はしてないですが巷の評判をみるとやや重いようです。たぶんこのマシンではブログ用に簡単な写真加工をするくらいなのでいっそPhotoshop Elementsでも久しぶりに買おうかと思ったんですが、どうもこちらも既に64bit専用ぽいですね。

ただLightroomについてはWeb(クラウド)版が使えるので文字入れなどをしないで単に画質調整だけならそちらで足りそう。ただざっと使った限りリサイズの方法がわからず。

Microsoft Office

Microsoft謹製ですがARM版は提供されておらず32bit版を使うことになります。まずはMSからお手本をみせろや!といいたいところですが、マクロの互換性とかもあって難しいようです(同じ理由で64bit版もあまり使われてない気がする)。

ブラウザ、メーラーなど

Chrome(32bit版)、FireFox(ARM版)、Thunderbird(32bit)、FileZilla(32bit)で使えています。ChromeはGPUレンダリングをOFFにしないとマウスカーソルが見えなくなる現象が発生しました。

追記:OFFでも再発しました。逆にONに戻して再起動したら治った。再起動が効いてるだけかも?

FireFoxは前述の通りATOKが使えなかったです。32bit版に入れ直すかMS-IMEで我慢するか思案中。Thunderbirdははじめてメールボックス形式をmboxからMailDirにしてセットアップしてみました。そのせいか最近遅くてイライラしていたGmailの読み込みが非常に快適になった気がします。1メール1ファイルで管理されるのでストレージ的には無駄が多いかもですが、体感は上々です。256GBモデルにして良かったかも。

これを書いている2020年1月15日はChromeエンジン版のEdgeがリリースされる予定ですがARM版はどうなるんでしょうね。出たとしてもx86向けのアドオンが使えないとなると厳しいかな?そもそもアドオンって32bit/64bitとかバイナリ的な区別あるんでしたっけ?JavaScript的なものなら区別なし?

チャットツール

SlackはMicrosoft Storeからインストール。Chatworkは公式から32bit版を入れればOKでした。

Visual Studio Code

32bit版で使えてます。ただSetting Syncで他の環境からアドオンを同期した時、ログに64bitとか出てた気がするけど大丈夫かな?今のところ目に見えた不具合はなさげ。

プリンタードライバ(問題あり)

EPSON、Canon共にARM版ドライバは提供無し。EPSONのPX-M885F、PX-S05B、CanonのLBP612cはOSのプリンタの追加からセットアップはできたものの、ドライバーはMicrosoft IPP Class DriverとなっておりM885F、S05Bはテスト印刷OK。612cはエラーでNG。Canon LBP6240はセットアップすらできませんでした。純正ドライバーのインストーラーからやってもダメ。

ということで現状我が家ではCanonは全滅、EPSONはとりあえずテスト印刷はできてる、というレベルです。すべてネットワーク経由のみ試しており、USBは不明です。

(事務的な意味での)エグゼクティブモデルとしてはここ(印刷)は一番クリティカルなところかも知れません。各メーカーには正式対応を頑張ってほしいものです。

 

というワケで、現時点では制約もありますがが、今後各ソフトベンダーがARMネイティブ版を出す度に真の実力が開放されていく成長シロがあると思うとちょっとワクワクする機種だと思います。

■注意喚起:キーボードを配列を店員に間違えられた話

今回、ヨドバシで購入した際、スリムペン付きSignatureキーボードを日本語配列でと指定しました。レジ奥から製品をもってきて「御確認ください。8GBの256GBモデルです。」と外箱指差しで言われたので確認後、ついでに「キーボードも大丈夫ですよね?」と聞き返しました。すると店員さんも一瞬虚を突かれたような反応をした後「日本語ですね」と下の写真のようなパッケージ表面の写真を指さして言いました。その場はそれで納得して帰宅。

表面の写真は中身の日本語/英語に関わらず日本語キーボードの写真

が、なんと英語配列でしたorz。外装フィルムを破った瞬間にこちらのシールが目に入りました。これは交換後の日本語版の写真ですが「本製品は日本語キーボード配列です」「パッケージ上の画像は参考イメージです。実際のキーボードとは異なる場合があります。」と書いてあります。これが「英語キーボード配列」を示していたので、それ以上箱を空けるのは止め、初日はキーボード無しでセットアップを行いました。こういう時、本体とキーボードが別商品だったのは救いです。

背面に日本語配列か英語配列かが小さくシールで貼られている

もちろん翌日ヨドバシに行ってすんなり交換してもらえました。初日の店員さんも顔をみて寄ってきて開口一番謝られたので、あの後自分でも調べて「あっちゃー!」と思ってたのかも知れませんw。そういえばAppleのiPad用キーボードも似たようなことあって、あっちは全世界共通で英語キーボードの写真でシールだけで分別してるっぽかったです。

ともあれ、購入時は念のため裏面も確認してみるのが吉でしょう。ちなみに品番では日本語がQSW-00019、英語がQSW-00021 です。

2019年ガジェット総括

年末恒例の「今年買ったガジェット」総括です。

■金額:カローラスポーツ

今年はなんといってもクルマ買い換えです。5月に納車されたカローラスポーツ。発売から1年経ってもほとんど街で見かけないマイナー車ですが、秋に兄弟車としてカローラ/ツーリングが出たことで関連パーツが増えてくれるといいなと思います。

満足度は5段階でいったら4くらいでしょうか。車両自体はとても満足度が高いです。ただ暖房シーズンになってちょっと燃費が落ちてきたのと、カーナビとコネクテッド周り(含スマホアプリ)が総じて残念。現行モデルではカーナビがディスプレイオーディオにリプレイスされてどうなんだろうというところですが、HDMIモニタとしてVGA画素数はあり得ないのでマイナーチェンジ前に買えて良かったと思っています。

■インパクト:Oculus Quest

目新しさ、感動度合いでいえばスタンドアローンVRヘッドセットのOculus Questでしょうか。インサイドアウト型で外部センサー不要、コードレスでどこでも使えるというところでとても気軽に使えるようになりました。とはいえBeat Saberにハマるも一瞬。やはり部屋にスペースがないと活躍の場は多くはないですね。はやくSAOのように身体の動きも仮想化してリアルの身体は寝転がったまま、せめて同じ場所に立ち止まったままで広い仮想空間を楽しめる時代になってほしいものです。

年末にアップデートでハンドリコグニションが先行搭載されました。来年はこれを活かしたアプリやゲームが増えるといいなと。

■活用度:SHARP 4B-C40AT3 & iPhone 11 Pro Max &

Apple Watch Series 5

毎日ゴリゴリ使っているという意味では4Kレコーダーの4B-C40AT3とiPhone 11 Pro MaxそしてApple Watch Series5。4K番組はさほど増えてませんが、たまにとれる懐かしい映画(これを書いている日にはバック・トゥ・ザ・フューチャーやってました)や、科学系ドキュメンタリー、ドローンを使った紀行番組などで感激します。またドラ丸によるアニメの録画管理はかなり理想に近い楽さを備えています。ただ動作はクソモッサリでリモコンのレスポンス(認識範囲)もクソで操作はフラストレーションたまりまくりです。

iPhone 11 Pro Maxは正常進化すぎて取り立ててレビューすらしてませんでした。3眼カメラのインパクトもさほど感じてないですw。ミッドナイトグリーンという新色は気に入ってます。

Apple Watch Series 5は3からの買い換えで画面の情報量が増え、常時表示になったことで活用度がググっと上がりました。特にリサーチ仕事で時間計測が便利になっり、乗り換え案内情報を見ながら移動できるようになったのが大きい。後述のAirPods Proの音楽ボリュームを(iPhoneから再生しているのに)デジタルクラウンで調節できることを先日発見してさらに感激。

■技術度:DSC-RX100M7

動物瞳AFをどうしても使ってみたくてRX100M6から1年で買い換えてしまいました。とはいえネコがいなくなってしまったので正直あまり活用し切れてないです。そのうち動物園にでも行こう。

SleepBuds vs WF-1000XM3 vs AirPods Pro

意外とこれまで手を出してなかった完全ワイヤレスデバイスを3つ立て続けに買いました。SleepBudsはヘッドフォンとは違いますが環境音でノイズをマスクして安眠を促すデバイス。なんとBoseが不出来を理由に回収全額返金を告知。でもオンリーワンなので手放さずに残すことにしました。AirPods Proして寝ることが多いですが、ノイキャンは朝までもたないし耳から出っ張るし、朝起きたらたいがい外れています。ここ一番でガッチリ安眠したい時はSleepBudsかな。

WF-1000XM3は悩んでたら発売日を過ぎてしまいしばらく品薄で入手までやきもきしました。ハイレゾ非対応な分、前に使っていたWH-1000XM3より音質面ではグレードダウンですが手軽さは上です。夏はどうしてもヘッドフォンは蒸れるしバッグに収まりが悪かったりで打ち合わせには持って行きづらく。AirPods Pro入手後は大幅に利用頻度が減っていて手放すかは思案中ですが、音楽を楽しむデバイスとしてはとても完成度は高いと思います。

AirPods Proはリンク先のレビューにも書きましたが、音楽を聴くというより生活ノイズを軽減してQoLがあがったり音声UIによる利便性を向上させるのが主な用途になるウェアラブルデバイスだと思っています。また上に書いたように就寝時のノイキャンとしても活用しています。もうちょっとだけ外れにくくなるといいなと。あと最近、どのイヤーピースにしても密閉テストをパスできなくなってしまいました。ググると結構いるみたいなのでバグかもと思って放置していますがややモヤモヤ。

Kindle Oasis 第10世代

第9世代を紛失してしまった為に仕方なく買い直し。背面のカバーがマグネット脱着式でなくなったのはとても残念ですが、色温度調節もできるフロントライトは良好。レスポンスも更に良くなった印象でとても快適に読書ができています。クーポンで安く買えた分初めてLTEモデルにしてみました。外でテザリングしなくても栞が同期されるのが地味に便利(とはいえたまに失敗する)。

■年末駆け込み1:Surface Go

ややもっさりは否めませんがPCいるかどうか微妙な外出で、一応バッグにいれとく、ということができるWindows機としてはLTE搭載も含め重宝しています。ただLTEがつながるのはちょっと待たされるかな。昔のWiMAX内蔵PCほどじゃない。確実に圏外表示を毎回ログオン直後に目にして、じーっとつながるのを眺めて待つ感じ。

見送るはずのSurface Pro Xがやっぱり気になってきています。年明けの1月には出るぽいので値段次第では気絶してみたい気も。ATOKが完全対応してくれたらなー。

■年末駆け込み2:サーキュレーター付きLED照明

昨年導入したデロンギのマルチダイナミックヒーターをより効率的に運用するため、部屋の空気を撹拌するサーキュレーターが欲しかったんですが、ドウシシャからLED照明を一体化したものがあると知り即気絶。ファン部分が首振りする新型の記事をみたんですが、6畳の寝室にそこまではいらん(高い)と思い、旧モデルをゲット。調色もできてLED照明としては文句なし。

ただサーキュレーターが12時間程度で自動でオフになるという仕様でデロンギと一緒に24時間動かすということができません。さらに悪いことにリモコンの赤外線信号がON/OFFのトグル共通信号になっているため、例えばNature Remoなどを使って定期的にON信号を送って回しっぱなしにするということが難しいです。試しに0時と12時に信号を送ってみると、ONだったのがOFFになってしまいます。さりとて12時01分に遅らせたら翌午前0時の時点では動いている可能性が高まるためどうにもならず…

結局のところ気付くと止まっている、ということになりいまひとつ活用しきれてる感が薄い買い物です。

■年末駆け込み3:スイトル

シリウス スイトル 水洗い 掃除機 クリーナー ヘッド

シリウス スイトル 水洗い 掃除機 クリーナー ヘッド

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掃除機の先端にとりつけて、カーペットなどを水洗いできるアタッチメントです。同じシリウスのハンディクリーナーSC-ST100Kとセットで購入。同居人が仕事部屋用のサブの掃除機が欲しかったのと、リビングのカーペットを敷いたまま洗えるといいなと。まだ買ったばかりで1回しか使ってないですが秋に買ったカーペットでも水が多少汚れたので効果はあるかなと。マイクロファイバーのクッション性のあるカーペットですが、さすがに吸引力だけですぐ乾くというレベルではなくわりと濡れたままです。ただ2,3時間後には気にならないほどになってたと思います。ノズルの先端はさほど広くないので、広い面積を掃除するにはそれなりに根性が必要です。スポットの汚れに使う分にはまずまずかな。

クリーナーの方は2万強としてはまずまずの吸引力、付属パーツの豊富さかなと。付属パーツ含め全体的な構造は清々しいまでにDysonのパクリ感があります。よく本家から怒られないなというレベルですがコスパは高いかも。スイトルは結構掃除機の相性があるみたいなので、純正の組み合わせで固めるという意味でも合わせ買いするのが良いかも知れません。

今更ながらSurface Goを衝動買い

今年最後のPCにMicrosoftのSurface Goを買ってみました。

マイクロソフト Surface Go (128GB/8GB) MCZ-00014

マイクロソフト Surface Go (128GB/8GB) MCZ-00014

47,800円(09/16 21:23時点)
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発売からだいぶ立ってるのに新しいモノ好きのσ(^^)が何故かというと、まず簡単な打ち合わせなどにもっていくメモ機が欲しかったから。MacBook 12’はあるものの、たまにWindowsがいいなとかペンやタッチが使えるといいなと思うこともあり。iPad Pro 12.9′ 2018でLTEが内蔵なのでこれにキーボードを足すということも考えましたが、やはりiOS/iPad OSのIMEではストレスなくがしがしメモを取るには厳しいかなと。エディタとしても慣れたVisual Studio Codeが使いたかった。ということで「LTE搭載機」というのも優先度の高い要件でした。で、それで考えるとあんまり選択肢がない。Let’s Noteやトラックパッドが狭くてイヤ。VAIOも悪くなかったけど13インチとかになるとMacBookとそんなにかわらず。現行機種では実質Surface Go一択という感じでした。UMPC系もガジェット的にはそそりましたがやはりサイズだったり英語キーボードだったり高速で無心にメモをとるには不足かなと。

ちなみに1月に発売予定のSurface Pro Xはデザイン的にはツボですしLTE対応で薄くてヨサゲだと思ったんですが、プロセッサがARMベースで64bitアプリが使えなかったり32bitアプリもエミュレーションで、フルなWindows機としては互換性やパフォーマンス的に不安が拭えませんでした。まぁ待ちきれなかったというところもありますが。これは出てみて評判次第ではもしかすると、と今でも思っています。

でまぁSurface Goです。10インチでキーボード(タイプカバー)つけても700g台とかなり軽い。ペンも使える。メモリ8GB/SSD 128GBモデルなら悪くなさそう(4GZB/64GBモデルはeMMC)。タイプカバーはキーボードとしては理想的とはいえないですがまぁ底をテーブルにペタっと下げればそこそこ打てそうかなという評価(店頭では!)。ちょうど店頭でタイプカバー無料キャンペーンをやっていたので半ば衝動買いしてしまいました。

■日本でのSKU構成がクソ

散々語り尽くされてたことですが、日本での店頭モデルはOffice 2019 Home & Business(永年ライセンス)がバンドルされてLTEモデルだと10万くらいします。一方でOSはWindows10 Home S。わかってる人にはダメすぎる仕様です。Office 365を契約していて5台分くらいラインセンスもってる人には、2019止まりの永年ライセンスなんて無用の長物です(実際速攻でアンインストールして365版を入れました)。法人モデルにはOffice無し、Windows 10 Proのラインナップもあり若干お安めで、Amazonなどで1台からでも買えたことは買えたんですが、まぁタイプカバー無料キャンペーンでだいぶ価格差は縮まったり、衝動買いしたかったので妥協したんですが。Proじゃないという差は残りなんとなく損した感は否めません(特に自宅でデスクトップ機からRDPしてセッティングしたい事とかある)。

■タイプカバーも結構厳しいかも

店頭ではそこそこ妥協範囲だと思ったキーボードですが実際に使い込んでみるとそこまで快適ではありませんでした。タッチ自体はiPad ProのFolioキーボードより幾分マシながら、どうもキー配列が微妙におかしいらしい。山口真弘さんの記事にわかりすい写真が出ています。なるほど、これはトラップ。地味に誤タイプが発生するわけです。なんだかなぁ。

5chとかみてるともうタイプカバー止めてELECOMやAnkerなどのBluetoothキーボードを使っとけ、みたいな空気ですね。キックスタンドで自立はするので、重ねてもってけるモバイルキーボードでえぇやんと。確かにそうかも知れません。

■性能面

Atom機よりは確実に良いですが、たまにもたつきは感じます。ストレージがボトルネックなのか、OSの起動直後などアクセスが集中する時に顕著な気がします。あとはデフォルトの電源プランではCPUクロックが非常に低いところで固定されてしまい固まったかのように重くなることがありました。今は最低クロックを上げて使っていますが、これだとバッテリーは保たない感じ。これはバグなんでしょうか。改善してくれるといいなと思います。外部給電していればクロックも上がるのでモバイルバッテリーを組み合わせるのもアリかも。まぁそれだと軽量PCにした意味がなくなるんですが…

■使い勝手

液晶を開くだけのノートPCと違って、1) キックスタンドを立てる、2) キーボードを開く、という2アクション必要になるのは「サッと開いて使う」とう面ではやや不利ではあります。また起動も若干待たされる感じ。顔認証(Hello)があるのでその後は早いんですが。LTEもログインして数秒から十数秒くらいしてつながる感じ。スマホやiPadのような常時接続感はなく、この辺りはやはりスマホ向けプラットフォームで作られるSurface Pro Xに期待、という感じでしょうか。

USB-Cポートがあり、こちらでも充電可能でした。専用コネクタのACアダプタや変換ケーブルを持ち歩かなくて良いのは有り難い。ただ1ポートしかないのでハブは必須かも知れません。とりあえず、USB-A/C、HDMI、Ethernetのついたこちらのハブを購入してみました。

持ち運べるWindows環境としてはかなり軽量なのは満足ですが多少の我慢も必要かなというところですね。うーむ、やはりSurface Pro XもVisual Studio Code特化のPCとして有りなのかもなぁ。でも現状ATOKが動いていないという書き込みも見かけたのでARM版を待つしかないのかも。

カッティングプリンタ CraftRobo C330-20を2019年のPC環境で利用する

■無駄に長い前段

同居人がネットショップを開くにあたり、商品に貼るラベルを印刷したいと。そこでCanonのカラーレーザーLBP612cとあらかじめ丸などの形にカットされたラベル用紙を買ってきてチャレンジしたんですが位置あわせが上手くいかず。ラベル印刷ソフトやプリンタードライバーには上下左右に指定㍉オフセットさせる補正機能がついているのですが、実際にやってみると毎回ズレ幅が違うので補正しきれてない様子。今時のプリンタでここまで毎回の紙送り精度が低いとかもはや紙送り精度を疑うレベルですが、ローラーのメンテナンス情報もないしお手上げ。このレーザーはカセットも手差しも前面給紙で中で一度紙がターンする方式なのでラベル印刷には向かないという結論。特に円形ラベルは少しのズレがデザイン的に気付きやすいのでシビアです。外径と同心円的な意匠は中心がちょっとでもズレると丸わかりです。四角のラベルに文字を入れるだけならそこそこです。ただやはり技術的な理由でデザインが制約されるのは望ましくありません。

次に買ったのはEPSONのPX-M885F。

  • 背面給紙トレイ
  • 増設カセット
  • 通常インクカートリッジとエコタンクの中間的位置づけ(?)なインクパック方式
  • ネットワーク周りは必要充分に充実

という仕様。ランニングコストを抑えつつ専用用紙をセットしっぱなしにして伝票印刷などにも使いたいということでカセット2段に増設でき、なおかつラベル印刷に相性のよい背面給紙(中で紙がターンしない)も使えるとなるとエコタンク機には選択肢がなく、インクパックというレトルトパウチのようなものにインクを入れたもので補充する形式のものになりました。初めて使ってみましたがカートリッジよりも交換が簡単だし、エコタンクのように液体を移す手間(こっちも使ったことないので想像ですが)もなくバランスの良いシステムだなと思いました。一点気になったのは、EPSONインク伝統の「イルカ」とか「チューリップ」みたいな型番知らなくても憶えやすい識別ラベル&写真が割り振られていない点。業務用だからということでしょうか。

で、ラベル印刷の紙送り精度としては大幅に改善しましたが、まだピッタリにはなりませんでした。紙の上寄りと下寄りでズレ方が違います。つまりスケールがあっていないということ。試しにドライバーの拡大縮小設定で101%にしてみたところ今度はズレ幅が逆転。1%単位では大雑把すぎる誤差なわけです。結局、ラベル印刷ソフトからPDFに出力し、Adobe Ilustratorで読み込んで100.5%と0.5%だけ拡大するとほぼ一致することがわかりました。ラベル屋さんなどのラベル印刷ソフトには是非こういうレベルの微調整機能も実装してほしいものです。

さてなんとか位置は合わせられそうになってきましたが、やっぱりインクジェットということで普通紙ラベルに印刷した時の品質ではレーザーに劣ります。滲むし色もなんか薄くて沈んでいる。M885Fは顔料インクなのでもう少しマシかと思ったんですが慌ててスペックを確認するくらいにはインクジェットインクジェットした画質。やはり商品の顔となるラベルとしてはレーザーを使いたいなということになりました。

■もう印刷にあわせてカットしたらイイジャナイ!

連日の失敗ラベル量産にうんざりした同居人はついにコレで手でカットするとか言い出します。

へぇ、こんな道具あるんですね。コンパスみたいなのと違って中心に針穴も開かないらしい。しかしいくらなんでも非効率すぎます。

そこで候補に挙がるのがカッティングプロッター。製図などに使うX-Yプロッターのペンのかわりにカッターを使い、ベクターデータに従って紙をカットするデバイスです。家庭ユースのものはGraphtec、brother、Rolandなどが3~5万円で販売しています。

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それぞれできる事はほぼ同じなんですが、注力してる用途が微妙に違う感じ。CM110は専用の粘着台紙に素材を貼り付けて台紙側のマーカーを使って位置あわせをしているっぽい。クラフト向けという感じ。紙のラベルを大量にカットするにはちょっと面倒くさそう。粘着台紙の消耗品代も気になります。スティカはサイズが選べるのが特徴ですが、雰囲気的にはロール式のカッティングシートを切り抜いて文字通りステッカーを作るのがメインかな?位置あわせの方法はよくわかりませんでした。そしてブランド、メーカーの知名度は一番低いかもですがグラフテックは結構老舗で、粘着台紙もあるんですがその他に紙に印刷したトンボを光学センサーで読み取ってそれを基準にした相対位置でカットする位置あわせができます。どうしてもトンボの分だけラベル用紙の端っこはロスになりますが、トンボとラベルを一緒に印刷してあれば済むので作業の手間はヨサゲ。

あとはどうやってカットするパスのデータを作れるか。それぞれ独自ツールももっていますが、少し複雑な形状の切り抜きとなるとIllustratorなどのベクターツールで作りたくなります。各製品ごとに

  • 専用ツールにSVGやEPSなどの汎用ベクターデータを読み込む
  • IllustratorやCorelDRAWのプラグインとして直接出力

といった選択肢があります。カッティングプロッターは大雑把にいえばプリンターの一種で、OSからもプリンタードライバーを介してプリンターとして見えています。あとはカット圧などの制御情報だけ足して制御するだけなので、例えばIllustratorなどでカットしたいパスのレイヤーを作ってそれを”印刷”してやればパスをなぞるようにカッターの刃が動いて切ってくれるというわけですね。印刷する図柄のレイヤーとカットするパスのレイヤーを1つのファイルで管理できるという点ではドローツールのプラグイン式は管理が楽です。

またもうひとつの観点としてUSBメモリやSDカードにデータを格納してカットを実行できるか、というものがあります。業務などで定型のものを繰り返しで切り抜く場合、いちいちPCから行うよりも、本体上の画面でフォーマットを選んでカットを実行できた方が便利です。PCのない場所で作業できますし、例えばPCが使えない作業員でも最低限の手順を機械的に実行すればいいことになります。またOSの更新によって非対応になりがちなプリンタードライバーの互換性の問題も気にしなくてよくなります。ブラザーなんかはそこを突き詰めていて、もはや制作ツール自体がWebアプリになっているようです。ブラウザ上で専用サイトにログインしてデータを作成し、それをダウンロードしてプロッター本体にセットして実行します。クライアントのOSに依存しないやり方ですね。長期に使うデバイスとしてはアリです。サービス自体が消滅しなければですが(笑)。

もしこれからカッティングプロッターを選ばれるのであれば、その辺りの仕様に着目してみるといいんじゃないでしょうか。

■あれウチにグラフテックの製品あるんじゃね?

遡ること10年前、痛ガジェット作りに興味をもって買ったカッティングプロッターがまさにこのグラフテック社(当時と名前かわってた)の製品でした。XPとかVistaとかいう時代の遺物。当然サポートも終了していて、「もう使えないだろうなー」と思いつつ、投資額に対して活用した機会があまりに少なかったため、捨てる踏ん切りもつかずに2回の引越しでもそのまま持ち越していました。Windows10とかmacOS Mojaveなどでは動かないかもだけど、仮想化とか駆使すれば一応使えるんじゃね?ということでベランダのコンテナから引っ張り出してきました。

■CraftRobo CM330-20おさらい(ようやく本題)

私が買った製品は旧ブランドCraftRoboのCM330-20という製品でした。主な仕様は、

  • A4まで対応
  • 光学センサーによるトンボ読み取り対応
  • SDカードからの設定ファイル読み込みに対応

というまずますのスペック。さすがσ(^^)。

利用ソフトが多くてややこしいのでこちらのサポートページを参考にまとめてみます。すべて執筆時点のものですので将来変更になる可能性があります。

・ドライバー & ROBO Controller

いわゆるプリンタードライバーに相当するのがこの2つです。USBで接続したプロッタを直接制御します。ROBO Controllerでカット圧やトンボ読み取りの有無など細かい設定をしたり、テストカットなどを行います。幸いなことにWindows10は64bit版も含めてサポートされています。一方Macは双方とも存在しません。標準プリンタードライバーでOKなんでしょうかね?

そしてポイントなのは、SDカード経由でデータを渡すのであればこの2つは対応版が存在している必要がないということです。

・ROBO Master 5.30

専用エディターです。独自形式のGPDファイルを作成し、ROBO Controllerへ送信してカットを行います。またSDカードに書き出すGSP形式ファイルも出力できます。

編集機能としては基本的なドローツールのように基本形状を作成できます。サイズ指定も可能。ビットマップ画像を貼ったりスキャナから読み込んだしして、それにカット線を重ねていく感じ。そしてトンボを追加することができます。まず画像とトンボをプリンターで印刷し、同じ紙をプロッタにセットして今度はカットを実行すると、トンボで位置あわせをして適切に切り抜いてくれるというわけです。

Windows7までしか対応していないことになっていますが幸いWindows 10の1903でも動きました。ただ一点ROBO Controllerを起動するには管理者権限での実行が必要でした。また一応互換モードもWindows7にして使用しています。

ちなみにインストール途中でROBO MasterかROBO Master Liteかを選ばされますがC330 -20はLiteってついてない方でいいみたいです。

・Cutting Master 2 for CraftROBO

Adobe IllustratorやCorelDRAWなどから直接出力するためのプラグイン形式のツールです。対応バージョンが古くて動きそうになかったので今回は試していません。検索した感じではやはりCC2014はOKだけど2017ではダメだったっぽいです。

 

つまるところ、専用ツールでデータを作って、SDカード経由でカットするだけなら、このROBO Masterだけあればヨサゲってことです。そしてこいつが無事Windows10で動いたので、C330-20は現在でも一応使えた、ということになります。一方MacはCutting Master頼みですが現代のIllustratorでは使えなそう。古いCS6も一応もってますが試していません。どうしてもMacで使いたい人は古いIllustratorとそれが動くOSバージョンを用意する必要がありそうです。そろそろ32bitアプリが動かなくなるのでなかなか難しいと思います。

・サードパーティのツールを使う選択肢

今回のリサーチの途中で、CTグラフィティMという汎用ツールを発見しました。プロッタ-の仮想化ドライバを使って上記に挙がっているような複数社の製品に対応しており、我が古のC330-20もトンボ認識含め対応しているようです(逆に現行機種ではトンボ非対応)。ROBO Masterに比べた優位点はEPSデータが読み込めること。つまりIllustratorなどでデータ作成ができるわけです。お値段9,000円と(現行ハードが3万強で買えることを思うと)ちょっと勇気がいる価格なのでまだ手を出せていません。今後より複雑なデータを扱うようになったら検討するかも知れません。

■Robo Masterでのデータ制作の実際

以下、今回のワークフローをウォークスルーしてみます。Robo Master(以下RM)でテンプレを作り、Illustratorでその上に画像や文字を追加。カットはSDカード経由で行う想定です。

1. Robo Masterでテンプレート作成

新規でA4サイズを選び、「トンボの印刷を行う」をチェックして新規ファイルを作成します。

これが空の新規ファイル。左上、左下、右下の三箇所に位置あわせのトンボが追加されます。これは動かしたり消したりできません。

「円」ツールで最終的にラベルとして切り出したい形を置いていきます。サイズ指定をしたい時は少しわかりにくいですが、オブジェクトを選択して「作図」->「位置」を選ぶと数値入力できます。今回は48mmの正円ラベルを作ります。トンボがある分全面をくまなく使用はできないですが、15面とることができました。パスだけだとイラレ上でなにも見えないので、塗り色をグレーにしておきます。

この状態でRMの専用形式である.GSDファイルでマスターデータとして保存します。

2. カットデータをプロッターに保存する

ツールバーのSDカードのアイコンをクリックし本体へ転送する.GSPファイルを書き出します。この時注意する点が4つあります。

  • SDカードはSDHCやSDXCといった最近のタイプは非対応なので、「SD」としか書いてない2GB以下のものを使用
  • SDカードはFAT形式でフォーマットする(FAT32でもダメ!)
  • ルート(一番上)フォルダに「Graphtec」という名前でフォルダを作成し、その下に.GSPファイル置く
  • .GSPファイルのファイル名は半角英数名で保存する(本体側の液晶で全角文字は表示できない)

将来的に色々なテンプレートのカットファイル(.GSP)をSDカードに置いて本体で選ぶことになるので、なにがどの形式かわかりやすいファイル名ルールを考えました。今回の例では「C48mm15P.GSP」という感じ。Cはサークル、直径48mmで15面、という意味です。四角ならR(ectangle)とか三角ならT(riangle)とかいうイメージ。まぁこの辺はご自由に。

3. Illustratorで画像を載せる

RMの上でも文字やJPGやBMP(PNGはダメなのが時代を感じる)を載せていき、プリンターに印刷することはできます。単純なデザインならそれで充分でしょう。今回はイラレで作成済みのデザインをできるだけ綺麗に(ビットマップにせずに)印刷したかったので以下の手順を採りました。

まずRMはPDFやAIに出力できませんので、WindowsやAdobe Distillerなどの仮想プリンタドライバ経由でPDF化します。「ファイル」->「出力設定」でプリンターを選び、「ファイル」->「プリンタ出力」でPDF保存します。

それをIllustratorで読み込むと、ガイド文のフォント「CIDFont+F1」がない場合は警告がでますが作業に支障はないので無視するか、適当なフォントに置き換えてしまいます。開くとトンボと丸が15個、バラバラのパーツとして配置されています。トンボと丸の相対位置は絶対に動かしてはいけないので、レイヤーを分割してロックしておきます。最後にグレーの円は非表示にするので、トンボと円も別レイヤーにしておくと便利でしょう。で印刷物を配置するレイヤーとして3つ目の「印刷ラベル」というレイヤーを作ってそこに部品を置いていきます。

デザインが完成したらプリンターにラベル用紙(フリーカットタイプ)をセットし印刷します。その時、グレーの丸を集めた「カットパス」レイヤーを非表示にしておくのがポイントです。

つまり印刷工程においてはRMに戻る必要はなく、Illustrator上での作業として完成します。要はトンボの位置が保持されて一緒に紙に印刷されていればOKなわけです。Illustratorである必要すらありません。

4. いよいよカット!

いよいよカットします。まずはカッターの刃の出方をかえる赤青黄のアダプタを紙の厚さに合わせて選びます。一般的なラベル紙なら青で良いでしょう。ただしウチは長期保存で欠品していたので黄色を使っています。

カッターの替え刃とセットでまだ購入できるので注文はしました。

カッターの受けとなるゴムパーツもまだ買える。刃を無駄に出しすぎるとこちらの痛みがヒドくなるんじゃないかと。

本体はもう壊れたらお終いなのであとどれだけ使えるか予測不能ですが消耗品も現品限りとなるはずなので買えるうちに買っておきました。

で、適切に刃をセットしたら図柄とトンボを印刷したラベル用紙をセットします。↓の向きにセットするので図柄と反対向きになりますが気にしなくてOKです。気になる人はイラレの時点で180°回転してから図を載せていっても良いでしょう。

専用台紙を使わないので「ダイシナシ」を選びます。すると紙の先端部が1cmくらい引き込まれます。2つの白いローラーで紙を送り戻しするので、両端がしっかりこの範囲内に入っていることを確認します。

「ファイルセンタク」でENTERを押すとSDカード内のファイルが左右で選べます。ファイルが見えない時はSDカードの形式や保存フォルダ名を確認しましょう。

またファイル名選択画面の左下に出る整数はカット圧です。数字が小さいほど弱い圧でカットします。ラベル用紙の場合、強すぎるとカット途中で部品が抜け落ちてしまい用紙送りの障害になるので、シールは切れても台紙は切れない、くらいの微妙なラインを狙います。経験上、「ウスイカミ」のデフォルトの2だと少し切り残しが出るので3くらいかなという感じ。もちろん紙の厚さやカッターの刃の飛び出し量(アダプタの色)にもよるので適宜調整です。この画面では直接数値はかえられず、かなりわかりにくいですが、一応ファイル毎に最後に使った数値を憶えてくれるようです。

そしてカットを開始すると、まず紙とヘッドが大きく動き、三箇所のトンボ位置を「ふむふむ」と確認します。途中でうまくトンボを認識できないとエラーで止まります。紙のセット位置などを微妙にズラすなどしてみましょう(白のローラーがしっかり紙をつかめるギリギリを狙います)。トンボのチェックに成功すると最後にカット実行の確認がもう一度出るのでENTERをおしてGOです。

試した限りはRobo ControllerからUSBで制御する時に比べて、SDカードからのカットは数倍速い気がします。やはり大量の定型カットを繰り返す場合は、SDカード方式を採った方が効率的でしょう。

 

ということで10年ぶりに引っ張り出してきたカッティングプロッターを現在のOS環境で稼働させることができ、数万円の出費を抑えることができました。修理不能モデルなのであとどれくらい働いてくれるか不明ですが大事に使っていきたいと思います。